37.ダカールの日

「わかっているが、どうも私はモビルスーツを忘れきれなくてな。」

「カラバは?」

「わかっているよ。」

「君に乗せてもらう事にして、良かったと思っている。今のままではすぐに落とされる。」

「自分1人の運命さえも、決断できない男がか?」

「自分に、道化を演じろと言うことか・・・。」

「アムロ・・・。」

「祈ってるさ。」

「短期間でよく整えたな。」

「まずいな!」

「閉会するな!この席を借りたい。」

「議会の方と、このテレビを見ている連邦国国民の方には、突然の無礼を許していただきたい。」

「私は、エゥーゴのクワトロ・バジーナ大尉であります。」

「話の前に、もう一つ知っておいてもらいたい事があります。」

「私はかつて、シャア・アズナブルと言う名で呼ばれたこともある男だ。

「私はこの場を借りて、ジオンの遺志を継ぐものとして語りたい。」

「もちろん、ジオン公国のシャアとしてではなく、ジオン・ダイクンの子としてである。」

「ジオン・ダイクンの遺志は、ザビ家の様な欲望に根ざしたものではない、

ジオン・ダイクンがジオン公国を作ったのではない。」

「現在ティターンズが、地球連邦軍を我が物にしている事実は、ザビ家のやり方より悪質であると気付く。」

「人が宇宙に出たのは、地球が人間の重みで沈むのを避ける為だった。

そして、宇宙に出た人類は、

その生活圏を拡大した事によって、人類そのものの力を身に付けたと誤解をして、

ザビ家の様な勢力をのさばらせてしまった歴史を持つ、それは不幸だ。

もうその歴史を繰り返してはならない。」

「宇宙に出ることによって、人間はその能力を広げることが出来ると、何故信じられないのか?」

「我々は、地球を人の手で汚すなと言っている。

ティターンズは、地球に魂を引かれた人々の集まりで、地球を食い潰そうとしているのだ。」

「人は長い間、この地球と言う揺りかごの中で戯れて来た。

しかし、時はすでに人類を地球から、巣立たせる時が来たのだ。

その期に至って、何故人類同士が戦い、地球を汚染しなければならないのだ?」

「地球を自然の揺りかごの中に戻し、人間は宇宙で自立しなければ、地球は水の惑星では無くなるのだ。」

「このダカールでさえ砂漠に飲み込まれようとしている。

それ程に地球は疲れきっている!」

「今、誰もがこの美しい地球を残したいと考えている。

ならば、自分の欲求を果たす為だけに、

地球に寄生虫のようにへばり付いていて、良い訳が無い!」

「現にティターンズは、このような時に戦闘を仕掛けてくる。

見るがいい!この暴虐な行為を。

彼らはかつての地球連邦軍から膨れ上がり、逆らうものは全てを悪と称しているが、

それこそ悪であり、人類を衰退させていると言い切れる!」

「テレビをごらんの方々おわかりになるはずだ!これがティターンズのやり方なのです!

我々が議会を、武力で制圧したのも悪いのです。

しかし、ティターンズはこの議会に、自分達の味方となる議員が居るのにも関わらず、破壊しようとしている!」

「ありがとう、みんなの協力があってこそ、成功したんだ。」

「そうかい。」

「いや・・・。」

「しかしな・・・。これで私は自由を失った・・・。」

「ああ・・・。」

「私は人身御供か・・・?」